
CASE STUDIES
導入事例
株式会社博報堂DYアイ・オー様 導入事例

【お話しいただいた方】取締役執行役員 田中 様、経営推進部 人材開発課 課長 鈴木 様、経営推進部 人材開発課 原重 様
◆まず、貴社が抱えていた研修課題や人財育成に関するお悩みについてお聞かせください。
(鈴木様)
弊社の社員の半数以上は障がい者であり、なかでも聴覚に障がいを持つ社員が多く在籍しています。正社員向けの教育としては、数年前から目標管理制度と連動させる形でオンライン研修を導入してきました。字幕がないことは承知の上で、手話通訳を別画面で表示する運用を前提としていましたが、実際に視聴を開始してみるとどうしても視認性が低く、十分に内容が伝わらないという課題が浮き彫りになりました。本来、厚い配慮が必要であるにもかかわらず、研修において十分な環境を用意できていないことに強い危機感を抱いていました。
手話通訳を別撮りして2画面表示にする運用を継続しましたが、根本的な解決には至らず、結果として研修内容が定着しにくい状況が続いていました。「障がいを持つ社員にも等しく、いかにして質の高い研修環境を届けるか」――。それが当時の私たちにとって、解決すべき最優先の課題でした。

◆ビズアップ総研を知ったきっかけや、依頼の決め手は何だったのでしょうか。
(鈴木様)
字幕対応のオンライン研修を探していた際に、ビズアップ総研さんのことを知りました。弊社の理念は「障がい者と健常者が同じ職場で活躍し、誰もが隔てなく働ける社会を実現する」ことです。研修においても、障がい者と健常者が「同じ場で共に学ぶ」ことこそが理想ではないか――。そうした想いを含めてご相談したところ、ビズアップ総研さんは私たちの意図を非常に真摯に受け止めてくださいました。「ダイバーシティ&インクルージョン」を体現したいという私たちの志に深く共感し、「ぜひ一緒に伴走させてください」と言っていただけたことは、大変心強かったです。
当初はオンライン研修のみを検討していましたが、打ち合わせを重ねる中で、対面研修の方がより適していると考えるようになりました。そういった弊社の要望の変化に対しても丁寧かつ柔軟にご対応いただき、作成されたプログラムを確認したときに、「これこそが理想の形だ」と確信しました。既存の研修パッケージを導入するのではなく、私たちの理念そのものに寄り添い、共に作り上げようとしてくださる姿勢が一番の決め手となりました。
(田中様)
加えて、担当講師の方が障がい者向け研修の実績をお持ちだったことも、大きな安心材料となりました。専門的な知見があるからこそ、現場での課題を深く理解していただけるだろうと感じました。
パッケージを導入するのではなく、私たちの理念そのものに寄り添い、共に作り上げようとしてくださる姿勢が一番の決め手となりました。
(原重様)
講師の方も事務局の方も、障がい者が参加することに対してネガティブな反応は一切ありませんでした。個性として自然に受け入れてくださったのがすぐに分かりました。そのフラットな姿勢が、私には何より心強く感じられました。

◆研修開催までのやり取りや、カスタマイズの内容はいかがでしたか。
(鈴木様)
打ち合わせの段階から、かなり「わがまま」とも言える細かな注文を数多くさせていただきました(笑)。今回は3階層に分けた研修構成でしたが、弊社の資格要件に基づいた独自のカリキュラムに加え、細やかな配慮事項など、盛り込むべき要素が非常に多岐にわたったからです。その中で、非常に印象的だったのは、ビズアップ総研さんが単にこちらの要望をそのまま受け入れる「言いなり」ではなく、プロの視点から情熱を持って対等に意見をくださったことです。 例えば、こちらが「このプログラムは障がいの特性上、難しいので省いてほしい」と提案した際も、講師の方は「このプログラムをこの順序で行うことにこそ、深い意味があります。工夫次第で必ず実現できます」とはっきり仰ってくださいました。
私たちの懸念を払拭する代替案を提示しつつ、質の追求に関しては決して妥協しない。まさに「最良の研修を作ろう」という共通の目的に向かって、共にプログラムを磨き上げていくような確かな手応えがありました。そうした高い熱意を持ちつつも、こちらの細かなリクエストには最後まで柔軟に応え続けてくださり、深く感謝しています。
◆開催にあたって、不安はありませんでしたか。
(鈴木様)
社内横断的に、さまざまな障がいを持つ社員が一堂に会して対面研修を行うのは、弊社にとって初めての試みでした。研修内容が各社員にフィットするかという懸念はもちろんですが、それ以上に「情報は全員に過不足なく伝わるか」「配慮が至らず、嫌な思いをする社員が出ないか」という点は、正直なところ非常に大きな不安要素でした。
(原重様)
私自身もこれまでの経験から、研修の途中で内容が分からなくなり、障がいのある社員が「置いてきぼり」になってしまうのではないかという懸念を抱いていました。しかし、当日は講師の方が参加者一人ひとりの反応や様子を細かく観察し、その場で臨機応変に進行を調整してくださいました。その的確な立ち振る舞いを見て、当初の不安はすぐに大きな安心感へと変わりました。
◆実際に障がいの有無を超えた研修を終えてみて、いかがでしたか。
(鈴木様)
参加者の属性や必要な配慮事項は多岐にわたりましたが、ビズアップ総研さんはそのすべてに極めて柔軟に対応してくださいました。特に象徴的だったのは「ストロータワー(※)」のワークショップです。聴覚の障がいがある者、視覚の障がいがある者、そして健常者が混在するチームで、いかにして合意形成を図り、共同作業を進めるのか。先ほどもお伝えしましたが、企画当初、コミュニケーションの障壁を懸念して「実施は困難ではないか」とプログラムの変更を打診したほどでした。しかし講師の方は、「これこそが多様性を力に変える、良い体験になります!必ず実現できます」と断言してくださいました。
実際、リハーサルの段階から障がい当事者である社員に立ち会ってもらい、講師の方は彼らの「生の声」を丁寧に拾い上げ、運営上の細かな工夫を凝らしてくださいました。当日は事務局と講師が密に連携し、リアルタイムで調整を重ねた結果、見事にワークを成功させることができました。自分たちが無意識に作っていた「限界」という壁を、プロの視点と情熱によって打破していただいた。そんな清々しい感動がありました。
(※)ストロータワー:限られた数のストローとセロハンテープのみを使い、チームで協力して自立可能なタワーの高さを競うグループワーク。コミュニケーション、役割分担、目標達成に向けた戦略的思考を学ぶプログラム。
(原重様)
講師の方のファシリテーションが実に見事でした。非常に聞き取りやすい発声はもちろん、常に会場全体を俯瞰し、参加者一人ひとりの反応を的確に把握して進行されていたことに、深い安心感と信頼を覚えました。
(鈴木様)
講師の皆様が、障がいに対して一切の偏見なく向き合ってくださったことが本当に嬉しかったです。「あらゆる特性を持つ社員に、等しく学びを届ける」という強い信念を肌で感じ、安心してお任せすることができました。
(田中様)
教育のプロとして「譲れない一線」を明確に持たれている点が印象的でしたね。私たちの要望を汲み取りつつも、研修効果を最大化するためのこだわりと情熱を持って、文字通り「共に作り上げる」姿勢で伴走してくださいました。研修当日も、休憩時間に「今の進行は適切でしたか?」と、現場の反応を見ながら常にブラッシュアップを試みる真摯な姿勢には、弊社の社員を想っていただいていることが伝わり、それがとても嬉しかったですね。

(原重様)
障がいの有無にかかわらず、全員が主体的に参加できるスムーズな進行のおかげで、受講した社員からも「非常に理解しやすかった」と高い評価を得ています。身体的な特徴を理由にプログラムを省略するのではなく、『どうすれば実現できるか』という前向きな代替案を提示し続ける姿勢に、プロとしての強い責任感と誇りを感じました。
◆最後に、今回の研修がもたらした成果を教えてください。
(鈴木様)
実施するまでは不安でしたが、実際に研修を終えてみると社員たちはこういう場を「欲していたのではないか」と強く感じました。部署を超え、障がいの有無も超えて横のつながりができたことは、自分たちが「ダイバーシティな会社」の一員であるというアイデンティティを再確認する機会になったはずです。
(田中様)
階層別のスキル習得はもちろんですが、それ以上に社員間の「他者理解」が深まったことが大きな収穫になりました。ありがとうございました。
(原重様)
もちろん、視覚障がいの社員と聴覚障がいの社員は、コミュニケーションの壁があって交流が難しい面もあります。しかし今回の研修を通じて、初めて話す人同士や、普段あまり喋らない人が盛り上がっている姿を見て、分け隔てなく同じ研修を受けることの意義を強く感じました。研修という業務ではありましたが、本当に楽しくもあり、良い学びになりました。

ーーー 株式会社博報堂DYアイ・オー 田中様、鈴木様、原重様、取材にご協力くださいまして、誠に有難うございました。
